「影を白で消す」というアイディアは、どのようにして生まれたのでしょうか? もともとは黒い象徴のものを探していて、他にもいろいろ考えてはいました。そこで半年ぐらい前に「影」という存在が気になり始め、もっとも身近なものだったので、まずそれをテーマに物づくりしようというのが自分の中に大きくありました。 その中で、影のもの自体をどう壊したり、転換したり、というアプローチは絶対必要でした。そして 影の黒を逆転させて白にしていこう という所を目指すことになり、それはパリの一回目として相応しいと思いました。 もともとアンリアレイジは、「日常と非日常」というのが大きいテーマであり、その中で「影」は、ずっとやりたいシーズンテーマでした。何かすごく特別な気がしていて。「Unreal」の象徴というか、実態がない、虚像の象徴というか 。 ずーっと、いつかそのテーマを作ろうと考えていたんですけど、その想いが合致してきて、やはりここ(パリ)でやろうと思ったんです。 影絵のように浮き出る色のしくみを、教えて下さい。 素材全体に、光によって反応する感光紙のような、フォトクロミックという特殊な染めを施しています。影ができるということは、光がない部分ができるということなので、その部分は純粋に発色しません。洋服の襞の影とか、手で隠された部分とか、光が当たらない部分だけ、白のままで、それ以外に光が当たっている部分は、影のように色が変わっていくというものです。 色は時間が経つと、元に戻るのですか? そうですね。3分ぐらい経つと。 特殊な染料は、協業されて作ったのでしょうか? 通常染料というものは、染める訳なんですけども、今回はその染料自体を作らなければなりませんでした。そこで、まったく染料とは違う会社にアプローチをしました。ただその間に一社、特殊なインクを開発して下さる会社があります。そこは印刷屋さんです。 僕らは、その印刷屋さんと話をしました。本来、印刷業界と染色業界って全然違うものなのです。印刷業界って、今おもしろいことがたくさん起こってるので 。でも布が染められなかったり、布には使えなかったりという部分があるので、いろいろ汲んでやりました。 具体的に、どのようなことに試行錯誤したかを教えて下さい。 そもそも使用した染料自体が、黒になることが不可能なんですね。 細かい話になりますが、その染料は分子なんです。結局見ている色というのは、光の反射なので、白というのは光を全反射している分子になります。今までのフォトクロミックの技術は、その反射の角度を変えるという技術で、青だけ反射させたり、赤だけ反射させたりと、そういう微妙な角度の違いをもたらすものだったんですけれど。今回の黒は光を全吸収するので、紫外線をきっかけに変えるという、すごく難しいことに挑戦しました。でもそのインクの会社はそれにずっとチャレンジしてくれたんです。 舞台をパリに移すために、服のデザインに変化はありましたか? 具体的にサイズのことですとか、体型の違いとかがあるので、形に関して今までとは考え方を変えました。どちらかというと、うまく体に空間を作っていくような方向で、サイズ感として、今までよりレンジの広い幅をカバーできるものを中心にしました。 それであの 影 の伸びとか、理論づいたものに裏付けされて、形として落とし込まれていきました。 ショーを終えて、海外メディアからの反応はいかがでしたか? 演出について、メールを見ていると「Amazing」だとか「Fantasy」だとか、「Unbelievable」だとかいろいろな声をいただきました。

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